磁石は私たちの身近で多く使われておりますが、殆ど機械内部に使われているため、直接目にする機会はあまりありません。
扱う機会が少ない中で、どのように適した磁石を選んだらよいか迷うところです。まずは以下を参考にお選び下さい。

1.磁石の材質種類で選ぶ

磁石は大きく分けて、ネオジム磁石・フェライト磁石・サマリウムコバルト磁石・アルニコ磁石などがあり、それぞれ特徴が異なります。
ご使用目的からどの特性・特徴を持った磁石が適しているか、材質特性の違いをご確認ください。

φ10mm×10mm 磁石 元素記号 元素名称 利点 欠点 用途
ネオジム ネオジム NdFeB ネオジム

ボロン
現在ある中で最も強力な磁石です。機械的強度も優れています。近年需要が高く小ロットでの製作でも対応可能です。 錆びやすいため、必ず表面処理が必要です。通常ニッケルメッキが施されています。原料である希土類が高騰しつつあります。 ハードディスク・MRI・ハイブリッド自動車
フェライト フェライト Fe2O3
BaCO3
又は
SrCO3
酸化第2鉄
炭酸バリウム
又は
炭酸ストロンチウム
原料が安価で大量生産に適しています。異方性フェライトなら吸着力もある程度期待でき実用的です。 陶器のように欠けやすく割れやすい。製造に金型が必要になる場合があり、小ロットでの試作製作には向いていない。 スピーカー・モーター
サマリウムコバルト サマリウムコバルト SmCo サマリウム
コバルト
保磁力に優れ、高熱温度環境下での使用に適しています。 脆く欠けやすい。原料である希土類が高騰しつつあります。 モーター
アルニコ アルニコ AlNiCo アルミ
ニッケル
コバルト
機械的強度と高熱温度環境下での使用に適しています。 近年需要が低く鋳造のため、製作に金型が必要になる場合が多い。保磁力が低いため、磁石同士の反発でも減磁しやすい。 精密機器
U字馬蹄型
方位磁針
  ラバー
マグネットシート
 CM 塩素化
ポリエチレン
樹脂とフェライト磁石粉末を混ぜたもので、柔軟性があり、希望の形状に容易に断裁加工できます。 磁石が弱く、強く保持させるためには面積が必要となる。樹脂を使用しているため熱に弱い。熱光や乾燥した環境下では、ひび割れてくる場合があります。 初心者若葉マーク
エレベーターなどの養生

2.サイズ・形状で選ぶ

サイズ・形状(丸型・リング型・角型・セグメント型)によって特性が大きく変わります。
設置したい対象物に、填るか・厚いか・薄いかなど、外観形状から見て扱い易いと思うサイズからお選び下さい。
ネオジム磁石・丸型の場合、直径φ1mm〜φ100mm以上まで豊富に取り揃えております。

ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1
ネオジム磁石 φ1mm×1mm φ2mm×2mm φ5mm×5mm φ10mm×10mm
ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1ネオジム磁石φ1X1
ネオジム磁石 φ15mm×15mm φ20mm×20mm φ100mm×30mm φ195mm×27mm

3吸着力で選ぶ

吸着力とは鉄板(その磁石自身以上の厚さ)に吸着させ、垂直磁化方向に引っ張った際に掛かる重量Kg(Kilogram-force 1 kgf = 9.80665 N)。
特性値の「吸着力 Kg」は特性を最大限生かされた場合の参考値になります。
保証値ではありません。サイズ一覧に吸着力(Kgf)を記載しております。そちらを参考にお選び下さい。

吸着力・磁束密度

吸着力と磁束密度は比例していません。
吸着力は設置面積が広ければ強くなります。

吸着力で選ぶ
N35 φ100mm×10mm φ10mm×100mm
磁束密度 117mT 546mT
吸着力 50kg 4.2kg

4磁束密度(ガウス・ミリテスラ)で選ぶ

参考値としてサイズ一覧に磁束密度(ガウス・ミリテスラ)を記載しております。磁束密度とは、単位面積当たりの磁束量(磁力線の束数)の事を言います。SI単位(Wb/m2)ではテスラ(T)・CGS単位(Mx/cm2)ではガウス(G)を使います。
加工後、製品化された磁石の特性として示されるこの表面磁束密度は、ガウスメーターなどの計測機で測られた数値と、計算値で予測された数値の場合がございます。
これらは各メーカーによって、計測機・計測環境条件・予測計算方式が異なり、業界標準統一されておりません。
そのため、同じ材質形状でもメーカーによって示される値が異なるため、保証値ではなく参考値となります。吸着力と磁束密度の関係は以下ご参照下さい。

形状別特性比較

磁束密度と吸着力は比例していません。
磁束密度は磁化方向に対して磁石の高さが厚ければ強くなります。

磁石形状別特性
N35 φ100mm×10mm φ10mm×1mm φ10mm×10mm φ10mm×100mm
磁束密度 117mT 113mT 488mT 546mT
吸着力 50kg 0.5kg 3.4kg 4.2kg
規格耐熱80℃ 60℃ 60℃ 105℃ 150℃

形状別特性傾向

最大エネルギー積が高ければ、吸着力・磁束密度ともに強くなります。

5耐熱・使用環境温度で選ぶ

磁石の磁力は環境の温度によって強くなったり弱くなったりを繰り返しています。
この特性は1℃でも温度が高くなれば弱くなり、1℃でも温度が低くなれば強くなります。
そのため環境温度に応じた磁石を選ぶために指針となるのが、材質特性の保磁力になります。
この保磁力から大凡の温度係数と上限工作温度が分かり、これを簡潔に耐熱温度とよんでいます。
通常冷めれば可逆し磁力は完全に回復しますが、この耐熱温度を超えると可逆から不可逆となり、常温に戻しても超えた分磁力が減磁し、元の磁力に戻らなくなります。
熱によって熱減磁した磁石を再着磁すれば、ある程度元に近い状態に磁力は回復します。
また耐熱温度は完全に磁力が失われるキュリー温度ではありません。キュリー点を超えると、完全に磁性を失いただの石になります。

熱浸透性による耐熱比較

耐熱性は磁石のサイズ(形状・厚み)によって熱浸透性が異なるため、同じ材質特性材料でも形状によって異なります。
磁化方向に対して厚ければより耐熱が高くなり、薄ければ耐熱が低くなります。仕様として明記する耐熱温度は材質特性上の参考値であり保証温度ではありません。

磁石耐熱比較
最大エネルギー積
BH-max
設置表面積・吸着力Kgf
狭い 広い
磁化方向

磁束密度 Br
保持力 H
低い・薄い 1 2 3 4 5
2 3 4 5 6
3 4 5 6 4
4 5 6 7 8
高い・厚い 5 6 7 8 9
N35 φ10mm×1mm φ10mm×10mm
規格耐熱80℃ 60℃ 105℃

上限工作耐熱温度とキューリー温度

項目 ネオジム 耐熱ネオジム サマコバ フェライト アルニコ
上限工作耐熱温度 80℃ 150℃ 200℃ 300℃ 400℃
キュリー温度 310℃ 340~400℃ 710℃ 450~460℃ 850℃
温度係数 Br/℃ ±0.12% ±0.09% ±0.035% - -
耐熱温度

6耐防錆性で選ぶ

ネオジム磁石の場合錆び易いため、通常ニッケルメッキコーティングを施し防錆処理されていますが、野外や水回りでの使用はいずれ腐食いたします。
表面処理の中でも最も耐防錆が高いのは弊社のエポキシ・ハイデンコーティングになります。

防錆性能比較試験 Ni/Zu/エポキシ

  弊 社
マグファイン
S 社 他 社 弊 社
マグファイン
T 社 弊 社
マグファイン
時間 HDCコーティング
エポキシ MF304
一般
エポキシ
自動車用
防錆下塗
Zn
HDCコーティング
ポリイミド MF305
一般
エポキシ

NiCuNi
3層ニッケル

開始前 初期状態
72時間後 72時間
312時間後 312時間
504時間後 504時間

塩水噴霧試験:37-39度・5%NaCl・PH6.5-7.0・1.5ml/Hr
PCT: 120度, 2atm, 100%RH, 12Hr.
ハイデンコートの詳細はこちらへ

7特性で選ぶ

使用環境に適した特性でお選び下さい。

特性順位

項目 参照特性値 弱い   ← 強い
磁力 残留磁束密度・最大エネルギー積 フェライト アルニコ サマコバ ネオジム
繰り返しの吸着 保持力 アルニコ フェライト サマコバ ネオジム
硬度 - サマコバ フェライト ネオジム アルニコ
耐食性・耐防錆 - ネオジム アルニコ サマコバ フェライト
高温安定度 キュリー温度・最高使用温度 ネオジム サマコバ フェライト アルニコ

特性値

項目 単位 ネオジム 耐熱ネオジム サマコバ フェライト アルニコ
残留磁束密度 T 1.26以上 1.23以上 1.03以上 0.385 1.25以上
保持力bHC KA/m 859以上 923以上 640以上 230以上 47.7以上
保持力iHC KA/m 955以上 1592以上 1190以上 235以上 47.7以上
最大エネルギー積 KJ/立法m 260以上 287以上 140以上 27.9以上 38.2以上
密度 g/立法cm 7.3~7.5 7.3~7.5 8.3 4.8~5.0 7.3~7.4
上限工作耐熱温度 80 150 200 300 400
キュリー温度 310 340~400 710 450~460 850
ビッカーズ硬度 HV 500~600 500~600 600 480~580 650