【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は28日、中国が日本や米国、欧州に対するレアアース(希土類)の輸出停止措置を解除したと報じた。業界関係者の話として伝えた。日本へは9月下旬以降、欧米についても今月18日から輸出が止まっていたという。
輸出停止措置に対して世界中から批判が高まる中、中国政府も態度を軟化させたものとみられる。ただ、日本への実際の出荷については時間がかかる可能性もあるとしている。
同紙によれば、中国の輸出規制はレアアースが50%以上含まれる原材料が対象だった。米欧は加工度の高いレアアース製品を輸入している一方、日本は主に
加工前のレアアースを輸入。影響は日本のほうが大きかったとみられる。レアアースはハイブリッド車や太陽光発電パネルなどの生産に欠かせず、日本の産業界
からも懸念が出ていた。
【ホノルル時事】前原誠司外相は27日夕(日本時間28日午後)、米ハワイ・ホノルル市内のホテルでクリントン国務長官と会談した。両外相は、中国が世界
の生産量の9割を占めるレアアース(希土類)について、中国からの輸出手続きが滞っている現状を受け、中国一国に依存すべきではないとの認識で一致。同国
以外にも幅広く供給先を求めて連携していくことで合意した。
両外相は日米同盟深化に向け、引き続き協力することを確認。クリントン長官は会談後の共同記者会見で、中国が領有権を主張している沖縄県・尖閣諸島につ
いて「日米安全保障条約の適用対象」と改めて表明した。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)については「日米同盟に対する重要な貢献だ。その在
り方について非常に前向きな形で対話中だ」と語った。
前原外相は、日本政府が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を検討していることを説明。クリントン長官は「日本の関心を歓迎し、後押ししたい」と述べた。
ハイブリッド車やハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の効率的なリサイクルにつながる技術を、東京大生産技術研究所のチームが開発し、26日
発表した。レアアースは、世界の生産量の9割以上を握る中国の輸出制限などで価格が高騰。将来の安定供給が不安視されており、リサイクル技術の確立が急務
だ。
チームは、コンピューターのハードディスクドライブやハイブリッド車のモーターに使われている高性能磁石「ネオジム磁石」に注目した。これらの多くは現
在廃棄処分されているが、磁石に含まれる2種類のレアアース「ネオジム」と「ジスプロシウム」を、高温状態での化学反応を利用して狙い通り回収する新技術
を開発した。
ネオジム磁石を含む合金を高温の塩化マグネシウムの液体に浸すと、合金中のレアアースが溶け出し、鉄やホウ素など不要な物質を分離できた。さらにレア
アースが溶けた液体を、約1000度の真空下で蒸留すると、ネオジムとジスプロシウムが回収できた。これにより、合金中のレアアースの8割以上を回収でき
たという。
従来研究されていたリサイクル法は、有害な廃液が出たり、レアアースの回収率が低く処理時間も長いという課題があった。今回の方法は、有害な廃棄物が出ず、鉄やアルミニウムなど他の金属を含む製品スクラップからも回収が容易だ。
チームの岡部徹・同研究所教授(材料化学)は「基礎研究レベルだが、環境調和型の新しいリサイクル技術の一つになりうる。国内に製品の形で蓄積されているレアアースを有効活用することは、資源セキュリティー上も重要だ」と話す。
政府がハイテク製品の製造に欠かせないレアアース(希土類)について、ベトナムと共同開発する方針を固めたことが22日、明らかになった。31日にハノ
イで開く日越首脳会談で合意する見通し。世界の生産量の9割を占め、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に対日輸出を滞らせている中国をけん制し、一国依存から
の脱却を目指す。
菅直人首相は28日からハノイを訪問し、東南アジア諸国連合(ASEAN)関係の一連の会議に出席した後、ベトナムのグエン・タン・ズン首相との会談に臨む。
ベトナム北部は、液晶パネルやハイブリッド車のモーターなどハイテク製品の製造に不可欠なセリウムやジスプロシウムといったレアアースの埋蔵が見込まれる。共同開発で合意すれば、日本は探査や製錬技術を供与して採掘を後押しする。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は19日、産業関係者の話として、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を、日本だけでなく米国を含む欧米諸国に拡大したと報じた。
中国の税関が18日朝から、幅広く輸出停止規制をかけているとしている。欧米諸国は日本よりレアアースの在庫が少ないとみられ、大きな打撃が予想される。輸出規制の影響が広がれば、中国と欧米諸国との間の新たな通商摩擦の火種となる可能性もある。
米通商代表部(USTR)は15日、中国によるレアアースの輸出制限やクリーンエネルギー分野の差別的な政策で米国企業が不利益を被っている可能性があ
るとして、米通商法301条に基づき、調査に入ると発表した。これに対し中国の英字紙チャイナ・デイリーが、来年のレアアース輸出枠を最大30%削減する
方針を報じるなど、中国側は強く反発している。今回の輸出停止は、こうした対応への報復措置との見方もある。
中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーは19日、中国政府が来年、省エネ家電やハイブリッド車の部品に不可欠なレアアース(希土類)の輸出枠を、今年に比べて最大で3割減らす方針だと伝えた。
中国商務省高官が同紙に明らかにしたもので、この高官は「現在のペースで生産を続ければ、15〜20年で(一部の)レアアースは枯渇する可能性がある」と述べ、資源保護の観点から輸出枠の削減を進める考えを示した。削減は来年前半まで続けるという。
中国政府は今年の輸出枠をすでに前年比で4割削減することを決めている。中国からの供給がさらに減少すれば、日本企業の生産活動への影響は避けられない。
プラセオジムにジスプロシウム。そんな単語を聞くと高尚な政策論議というよりは高校の化学を思い出すかもしれないが、いまや代替エネルギー市場の未来を左右するキーワードになっている。
元素周期表に載っている17元素の総称である「レアアース(希土類元素)」。ハイブリッドカーや電気自動車のバッテリー、エンジンから、高エネルギー効
率LED照明、ソーラーパネル、風力タービンまで、さまざまな次世代エネルギー技術の分野で重宝されている。世界のレアアース産出量の90パーセント以上
を占めているのが中国だ。これまで中東産油国への依存が問題となってきたが、次世代エネルギーの分野では中国がクローズアップされ、今後の世界経済の課題
になりそうだ。
元素番号21番のスカンジウム、39番のイットリウム、57〜71番の15元素(ランタノイド)をレアアースと言うが、"レア(希少な)"という名前は
厳密には当てはまらない。鉱石の塊に含有されている場合がほとんどで、実際にはそれほど希少ではないのだ。にもかかわらず経済的な価値が高いのは、採掘さ
れた鉱石に含まれる量が非常に少なく、精錬に手間がかかるためだ。
中国に次いで世界第2位のエネルギー消費量のアメリカにも存在するのだが、モハーベ国立自然保護区の近くにある同国唯一のレアアース採掘地、カリフォル
ニア州のマウンテンパス鉱床は50年間の操業を終え2002年に閉鎖している。経済、環境面の問題がその理由だ。しかし上院議会の公開記録によると、米石
油関連企業シェブロンが所有していたマウンテンパスは2008年にモリコープ・ミネラルズ社が買い取ったという。連邦議会にレアアースに関するロビー活動
を行いながら40万ドルもの資金を投じている同社のWebサイトには、「調査、開発、資本コストの面で連邦政府の力を借り、当社はこの鉱山の規模を拡大し
て近代化を推し進め、いずれは操業を再開する予定です」と書かれている。
また連邦議会では、国内採掘を再開するための助成金拡大へ向けた法体制の整備が提案されており、9月末に日本と中国の間で巻き起こったレアアースの輸出
禁止問題も議題に上がっている。日本では各企業が中国による輸出禁止措置を厳しく非難し、政府も対抗措置を検討しているが、中国政府からはいまだ納得のい
く回答が得られていないという。「海外での鉱業に関する開発権を確保し、レアアースの供給源はもっと分散させたい。中国一国だけに依存するという現状は好
ましくない」と前原誠司外相は10月1日の記者会見で語った。
同じような議論はワシントンでも交わされている。アメリカ地質調査所(USGS)の統計では、昨年アメリカが輸入したレアアースの90パーセントが中国産で占められていたが、今年は97パーセントに達したそうだ。
「アメリカは石油関連資源を輸入に頼っていたが、全く同じことがレアアースの分野でも起こっている。危機的な状況と言えるだろう。レアアースに関して、中
国は"一カ国のOPEC(石油輸出国機構)"とたとえられることもある。最近の日本に対する輸出禁止措置も、同国がこの分野での影響力を自覚していること
の現れだ」と、アラスカ在住の共和党上院議員リサ・ムルコウスキ(Lisa Murkowski)氏は語る。
また、先月30日の公聴会では、コロラド・スクール・オブ・マインで経済、ビジネス分野の教授と責任者を務めているロデリック・エガート氏も次のように
述べた。「鉱物資源はいたるところに豊富にあるが、中国は供給量とコストの低さがともに群を抜いており、一国で世界中の需要を満たせるほどだ。各国が鉱物
の供給量の増加とそれに伴うリスクを減らすよう市場にてこ入れを行っているが、この分野での中国の力は強大だ。ここ数年間の総需要を一国でまかなってきた
ことを考えると、その傾向は今後も変わらないだろう」。
そしてこの問題を考える際には、国防に関する影響も忘れてはならない。レアアースはグリーン技術の分野だけでなく、兵器製造でも不可欠な原料となる。例
えば精密誘導兵器「スマート爆弾」は、レアアースの一種である金属元素ネオジムを用いたNdFeBという磁石を利用して投下方向を制御する仕組みになって
いる。
政府説明責任局(GAO)の調べでは、アメリカ国防総省は現在、レアアースに関する中国への依存度を測定し、国防に及ぼすリスクを調査し始めたそうだ。
ただ、新たな代替エネルギーの主役はレアアースと確定しているわけではない。技術発達のおかげで、例えば高エネルギー効率の太陽電池や風力タービンなど
はレアアースがなくとも製造できるようになった。それでもレアアースが使われるのは、製造過程を効率化できるなど、さまざまな利点があるためだ。
「代替エネルギー産業の生殺与奪を握るとは言い切れないのかもしれないが、市場成長に役立つのは間違いない」。そう語るのは、環境防衛基金のエネルギー・
プログラムで副責任者を務めるマーク・ブラウンスタイン氏だ。「レアアースの価値は、再生可能エネルギーや高効率エネルギー技術の根幹に革新をもたらして
いる点にある。入手のリスクを減らすようにすることは、既存の再生可能エネルギーだけでなく、将来の技術革新にとっても重要だ」。