2010年9月アーカイブ

レアアースを使わない新構造の50kWハイブリッド自動車用フェライト磁石モータNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は29日、レアアース(希土類)を使わない新構造のハイブリッド車用フェライト磁石モータを開発したと発表した。


NEDO、レアアースを使わないハイブリッド車用モータの開発に成功

北海道大学の研究グループと共同で開発に成功した。従来のハイブリッド車用希土類モータに匹敵する出力である50kWを発生できる。

生産量の90%が中国に偏在するレアアースを使わず安価なフェライト磁石だけで構成されたモータであるため、次世代自動車の開発で日本の産業競争力を高めると期待される。

開発した新しい構造のモータは、フェライト磁石と圧粉鉄心を非磁性の支持部材に交互に組み込んだ新構造の「ロータセグメント形アキシャルギャップモータ」を採用した。この構造により、レアアースを磁石に添加しなくても、高い出力性能を出すことに成功した。

研究成果は9月30日の「イノベーション・ジャパン2010−大学見本市」で報告する。

マツダ財団は27日、2010年度の研究助成を決定したと発表した。ディスプロシウムなどの希少元素を使わない新しい強磁性材料の開発など合計31件に3400万円を拠出する。

科学技術振興関係の研究助成には25件に対し合計3000万円、青少年健全育成のための研究助成では5件に対し400万円の助成を決定した。

科学技術振興分野では「希少元素を用いない高性能永久磁石創製のための新規強磁性ナノ磁性ナノ粒子開発」「新しい希土類永久磁石の研究開発」など、高性能なモーターに欠かせないレアアース(希土類)に関係する研究も助成対象にした。
日立製作所は250度C以上の高温下で磁場をかけ、磁性体が持つ磁区(磁石の最小単位となるスピンの向きがそろった領域)を観察する新型の電子顕微鏡を開 発した。加熱と磁場の印加を同時に行いながら、測定できる顕微鏡は珍しく、高温下で使える磁石の開発や、ハードディスク(HD)など磁気デバイスの特性を 調べるのに役立つ。ブラジルのリオデジャネイロ市で開かれている第17回国際顕微鏡学会(IMC17)で20日に発表する。
 日立が開発したのはスピンの向きを3次元で画像化する「スピン偏極走査型電子顕微鏡(スピンSEM)」。分解能は10ナノメートル(ナノは10億分の1)で、同様の機能を持つ化学顕微鏡に比べて約50倍の性能を持つ。
 約250度Cの高温下で、最大1キロエルステッドの磁場を加えながら磁区を測定できる。磁場を加えなければ約500度Cまで加熱できる。
[東京 15日 ロイター] 中国政府が今年7月、レアアース(希土類)の輸出に急ブレーキをかけたことで、液晶パネルやハードディスクドライブ(HDD)に使われるガラス製品の生産・出荷に支障が出るリスクが浮上している。

 希土類の生産は中国が世界で9割以上のシェアを握っているが、中国国内の需要拡大もあり、毎年更新される輸出許可枠が来年以降、かつての水準に戻るめどは立っていない。 

 <ガラス研磨剤、価格4倍に> 

 中国政府は今年7月、2010年の希土類の輸出許可枠を前年比4割減の約3万トンにすると決定した。10年下期(7─12月)の許可枠は約8000トン で、前年同期比7割の大幅削減となる。これにより必要量の調達が危ぶまれているのが、液晶パネルやHDDに組み込まれるガラス基板の生産過程で使われる、 セリウム(希土類の一種)を原料とする研磨剤だ。希土類輸入で日本トップクラスの双日<2768.T>の担当者は「数量的に需要が大きいランタンやセリウ ムの供給は、かなりひっ迫している状況だ」と話す。 

 セリウムの価格は8月に1キログラム当たり40─50ドルで、前年同月比で4─5倍に高騰。これを受けて、セリウム研磨剤の国内最大手、昭和電工 <4004.T>は13日、11月出荷分から現行比4倍に値上げすると発表した。同社は「中国の輸出規制で量的な調達が厳しくなると同時に輸入価格も急騰 しており、コストアップを転嫁しないと事業が成り立たなくなる」(広報担当者)と説明する。原料の必要量の調達については、「年内、来年の量の確保はある 程度めどがたっているが、一部の顧客向けには多少、出荷量を削減する必要が出てくる」としている。 

 <在庫は底をつく懸念も> 

 セリウム研磨剤の国内の主要な需要家が、液晶パネル用のガラス基板を製造する旭硝子<5201.T>と、HDD用ガラス基板で70%の世界シェアを握る HOYA<7741.T>だ。旭硝子は液晶パネル用ガラス基板で世界シェア25%を有するが、競合する米コーニング<GLW.N>や日本電気硝子 <5214.T>は研磨剤を使用しない製法のため影響はない。旭硝子は「液晶用ガラス基板の生産を当面は続けられるだけの研磨剤の在庫はある」(広報担当 者)と説明するが、「当面」の具体的な期間については明らかにしていない。

 旭硝子は、1)生産歩留まりの改善、2)ガラス1枚当たりに使う研磨剤の使用量を減らす──などの方法で供給ひっ迫に対応している。また、セリウムに代 わる研磨剤の使用に関する検討も進めているという。HOYAも「HDDガラス基板の供給については必要量を確保できるよう努力している」(広報)と説明し ている。同社も効率的な利用による使用量の削減を進めるほか、代替品の利用を検討中としている。

 とはいえ、希土類の調達状況が改善する兆しはない。双日の担当者は「希土類の中国国外の需要量は約5万7000トン(年間、以下同)で、これに対する中 国の輸出許可枠は2010年で3万トン。リサイクルや他国からの供給が1万トンとみており、世界で差し引き1万7000トンが不足する」との説明する。日 本国内ではレアアースの需要としては研磨剤用が年間1万トンと最も多い用途となっており、世界的な供給不足の影響が続くのは必至とみられる。 

 <増大する中国内需、代替調達先の開発急務> 

 中国側の輸出規制に対して、日本政府と経済界はいまのところ「お手上げ」の状態だ。8月末、北京で日中両国政府による「日中ハイレベル経済対話」が開か れ、日本側は希土類の輸出枠拡大を求めたが、中国側は「資源や環境保護の観点から(輸出規制は)やむを得ない」と回答し、日本側の要望を事実上拒否した。 9月には、日中経済協会(会長:張富士夫・トヨタ自動車<7203.T>会長)による「1975年以来、過去最大の人数」(同協会)による財界訪中ミッ ションがあり、日本側が輸出規制に対する懸念を表明して輸出枠拡大を促したが、中国側から輸出量拡大に向けた言質は得られなかった。

 希土類は、研磨剤だけでなく、ハイブリッド車や家電に使われるモーター用の磁石(ネオジム、ジスプロシウム)、自動車排気ガス浄化用触媒(セリウム、ネ オジム、プラセオジム)、代表的な電子部品で携帯電話などに使われるセラミックコンデンサー(ネオジム)など幅広いハイテク製品に必要不可欠な資源だ。 「すでに中国では希土類の需要が6万トン以上で、日本の倍以上」(双日)となっており、内需の急拡大に伴い国外に出せなくなっているという事情もある。

 旭硝子の子会社で、セリウム研磨剤を中国で合弁生産するAGCセイミケミカル(神奈川県茅ケ崎市)の永山俊男・中国研磨剤事業統括室長は「米アップル <AAPL.O>のアイフォーンのディスプレーの研摩も中国で行われていて、中国国内の研磨剤市場は非常にホットな状態になっている。中国政府にすれ ば、(希土類は)自国の需要だけで精一杯ということだ」と指摘する。

 経済産業省は今後の対策として、「海外の鉱山開発、代替材料の開発、リサイクルの促進」(製造産業局非鉄金属課)の必要性を挙げる。「オーストラリアや 米カルフォルニア、ベトナムなどで生産再開や鉱山開発の計画がある。オーストラリアでは12年から、カリフォルニアは12年半ばから、ベトナムは13年と いった時間軸で採掘が進むと思う」(双日)と、価格高騰により代替地の開発計画もここにきて具体化してきた。ただ、今年末から来年にかけて中国外の開発計 画が供給不足の状況を打開するには至らず、希土類の調達は中国政府の方針次第という状況が続きそうだ。
 物質・材料研究機構はレアアース(希土類)のジスプロシウムを使わずにネオジム磁石の磁力を保持する耐久力(保磁力)を高める技術を開発した。原料のネ オジム磁石粉にネオジム銅合金を拡散。粉中の微小結晶の界面組成を制御し実現した。ハイブリッド車(HV)の駆動モーターに使う高性能ネオジム磁石の材料 調達の効率化やコスト低減などにつながると期待される。
 ネオジムと鉄、ホウ素からなる通常のネオジム磁石は、温度上昇で保磁力が低下する。そのため、約200度Cの高温になるHV用モーターでは、ネオジムの4割をジスプロシウムに置き換えた磁石を使っている。
 ジスプロシウムは希少な上、全体の9割以上が中国で産出されており、使用量の削減が課題となっている。

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