2010年6月アーカイブ

 技術提案、産学連携支援などを手掛けるイーノス(仙台市)や山形大大学院理工学研究科などが、ハイブリッド車(HV)に搭載されているエンジン冷却用の 電動ウオーターポンプを軽量化する技術開発に乗り出す。金属製部品をプラスチックに転換する製造技術などを確立し、次世代車への採用を目指す。
 ほかに宮城県大崎市に製造拠点があるプラスチック成型加工のアイ・アンド・ピー(埼玉県東松山市)と宮城県産業技術総合センターが加わり、計4団体によ る連携事業として開発に取り組む。
 計画ではプラスチック製に切り替えることで、ポンプの大きさ、重さをともに金属製より3割カットし、冷却水の放熱効果を保てる構造にする。
 併せてポンプを動かす電動モーター磁石に磁力を高める「磁性粉」を添加するなどして、磁石の小型化も図る。いずれも本年度中に技術を確立し、来年度に試 作に入る方針だ。
 開発に当たっては、アイ・アンド・ピーの成形加工技術と、山形大のプラスチック成型や材料に関する研究を活用する。
 冷却用ポンプは、ガソリン車がエンジンの回転を利用して機械的に稼働させるのに対し、HVは一時的なエンジン停止が起こるため、常に稼働するように電動 式を採用。このため、部品の軽量化やバッテリー消費の低減が課題になっている。
 共同研究に対しては、経済産業省が本年度、「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択し、3年間にわたって支援することを決めている。
 イーノスは「技術を確立できれば、軽量化が求められる幅広い部品への応用も期待できる。地元での生産につなげたい」と話す。
河北新報社
  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、磁気で冷やす冷凍技術の研究開発など、温室効果ガスの排出削減に役立つ14件の取り組みを後押しす る。

 14件は、NEDOが進める「省エネルギー革新技術開発事業」の2010年度第1次公募の採択テーマ。1つが磁気冷凍技術に注目した3年計画の先導研究 で、東芝と千葉大学が共同で取り組む。具体的には、磁石を近づけると磁気を示す物質「磁性体」を利用した新しい発想の冷凍技術の実現可能性を探るため、冷 凍機の設計や試作などを進める。新技術は、従来型の「気体冷凍機」で用いるフロン系ガスを不要とするため、オゾン層破壊や地球温暖化の防止に役立つとされ ている。

希少金属のディスプロシウム(Dy)を添加しないで、最高150℃の環境で使用できる新合金のネオジム系異方性ボンド磁粉(商品名:マグファイン MF18P)を開発したと発表。2011年春から量産を開始するとしており、収益寄与を期待した買いが活発化している。  

同社が開発した世界最強のボンド磁石「マグファイン」はモータの小型化・軽量化に貢献してきたが、これまでは最高120℃環境で使用される自動 車用ボディ系モータ、家電用モータ分野に限られていた。

しかしながら、今回は150℃耐熱磁粉の開発によって、ABSやEPS、燃料ポンプ用など全ての自動車用ユニット系モータへの応用展開が可能に なったという。 

愛知製鋼(5482)の株価は9時21分現在、25円高の389円。

[NSJショートライブ 2010年6月17日 9時21分 更新]

 電気自動車(EV)の電池に使うリチウムなど希少資源をめぐり、今年度の日本の探査プロジェクトの件数が過去最高に達することが20日分かった。環境対 応車(エコカー)の需要拡大を受けた希少資源の世界的な争奪戦の激化が背景にある。日本は、採掘権の獲得交渉で地上デジタル放送事業といった周辺開発を同 時に提案するなどオールジャパン態勢で希少資源の獲得を目指す。(鈴木正行、那須慎一)

 日本の資源確保事業は、経済産業省が所管する独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がかじ取りを担う。

 JOGMECは平成20年度に希少資源に特化した自主探査プロジェクトに踏み切り、その年に13件の契約にこぎつけた。その後プロジェクトを強化し、継 続案件を含めて昨年度は21件、今年度は4月からの3カ月弱ですでに19件の探査契約を結んでいる。現在交渉中の案件もあり、年度内に前年度実績を上回り 過去最高になることが確実だ。

 ≪需要拡大≫

 リチウムの世界的な争奪戦は激化するばかりだ。複数の調査会社によると、EVの本格的な普及が見込まれる32年にはリチウムの世界需要が9万〜22万ト ンとなり、このうちエコカー向けが約6割を占める。21年の約10万トンと比べると最大2倍になる計算だ。取引価格も高騰し、昨年末時点で1キロ当たり5 ドルと、17年の約2・5倍になった。

 JOGMECは今年2月、世界最大級とされる南米ボリビアの標高約3700メートルにあるウユニ塩湖のリチウム鉱床をめぐり、同国の政府関係者ら約 160人を招いて中心都市ラパスで経済開発セミナーを開いた。経産省の高橋千秋政務官は席上、リチウムの採掘権交渉にあわせて、地熱発電、日本式地上デジ タル放送の技術協力、獣毛産業開発などの支援を提案し、日本と組むメリットを強調した。

 ウユニの採掘権をめぐっては、フランス企業が20年10月にボリビアのモラレス大統領に接触、韓国鉱物資源公社も21年4月にボリビアの鉱業公社とリチ ウムの共同開発の覚書を締結した。中国も水面下の動きを活発化させており、獲得競争は過熱するばかりだ。

 ≪リスク分散≫

 商社も希少資源を狙って独自の対応を取り始めた。

 住友商事は4月、中央アジアのカザフスタンで、ウラン残土の回収や再利用について、同国の原子力公社と合弁工場の設立に調印した。残土からモーターの磁石の主原料となるネオジムやディスプロシウムなどを取り出すのが目的だ。

 ネオジムやディスプロシウムは産出量の9割を中国が占めており、中国への依存が避けられない。だが、中国が輸出規制の強化など政策をいつ変更するかわか らないところが、各国にとって頭痛の種だ。カザフスタンでの残土活用事業は、鉱山開発よりもコストが割安なうえ、「中国以外からの調達を本格化させること で、チャイナリスクを分散できる」(住商の伊藤令無機・鉱産事業部長)との狙いもある。23年中に工場を本格稼働させ、日本への供給を開始する計画だ。

【用語解説】希少資源

 地球上に存在量がまれであるか、技術的、経済的な理由で産出が困難な資源のこと。リチウムやチタン、ニッケルなどのレアメタル(希少金属)と、ネオジム やディスプロシウムなどのレアアース(希土類)がある。希少資源は産出国が偏っており、リチウムではチリ、アルゼンチン、ボリビア、中国の4カ国で全体の 約85%を占める。リチウムは電池の、ネオジムは磁石の主原料として不可欠で、これらの資源がないと電気自動車(EV)の生産ができない。
 トヨタ系特殊鋼メーカーの愛知製鋼は16日、レアアース(希土 類)の「ディスプロシウム」を使わない新方式の車載モーター向け高機能磁石を開発したと発表した。ディスプロは中国でしか産出されない高級原料。これを使 わないことで原料費を抑えられる分、従来より2〜3割安く作れるうえ、安定供給しやすいとして国内外の自動車部品会社に売り込みを図る。

 主原料のネオジムを直径1万分の3ミリに微細化したうえで特殊コーティングして作った。ネオジムもレアアースの一種だが、産出地域が多く、比較的手に入 りやすい。

 ネオジム系磁石は一般的なフェライト磁石より磁力は強いが熱に弱い。このためパワーステアリング用などエンジンルーム周辺で使う場合はネオジムの5倍以 上も高価なディスプロを混ぜる必要があった。新型磁石はディスプロ入りと同等の150度まで耐えられ、自動車1台に100個前後ある小型モーターのほとん どに使えるという。

 11年3月から岐阜県関市の関工場で量産を開始。需要が増すハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)用の大型モーターにも応用できるとみて、更に研 究を進める。【宮島寛】

最終更新:6月17日2時5分 毎日新聞

トヨタ系特殊鋼大手の愛知製鋼は16日、希少金属の一種であるディスプロシウムを使わない耐熱磁粉を開発したと発表した。電動パワーシート、燃料ポンプな どでの使用を想定し、来年春に発売する。価格は従来品の20%程度安い。平成24年3月時点で月販50トン(自動車用小型モーター300万個分)を見込 む。

 直径0.3マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルに微細化した結晶をフィルムで包み、その結晶を集めて直径100マイクロメートルの樹脂製マ イクロカプセルに入れた。こうした工夫により、磁力を従来のフェライト磁石の5倍に引き上げた。また従来品で120℃だった耐熱温度も150℃にあがっ た。

 愛知製鋼は磁粉の耐熱性磁石を高めるためにディスプロシウムを使っていたが、ディスプロシウムは中国雲南省のごく一部でしかとれず、その確保が難しくなって いた。

6月16日15時7分配信 産経新聞
 丸紅100%子会社の丸紅テツゲン(東京都新宿区、大林啓二社長、03・3513・1221)は年内にも使用済みの自動車からレアアース(希少金属)を 回収・リサイクルする事業に乗り出す。
 磁石材料メーカーと組んでハイブリッド車(HV)や高級車の使用済み自動車を集荷し、モーター向けに使うネオジムやディスプロシウムのレアアースを回収 し、販売する。早期にビジネスモデルを構築し、3年後に回収台数1万台、レアアースの回収量10トン、取扱高5億円を目指す。
 主に車齢10年を超える第1世代のHVを集荷の対象とする。一部高級車のステアリングやワイパー用モーターからの回収も検討する。ネオジムなどは強力な 磁力を持つため、消磁してから回収する。あわせて車の配線に使われる銅の回収も進める。
日本大学生産工学部の久保田正広教授らは粉体材料を使って、容易に磁性を持ったり失ったりする性質(軟磁性)のマグネシウム合金を開発した。粉末の酸化鉄 系複合材料のフェライトとマグネシウムを機械で混ぜ、焼結プラズマ法で焼き固めた。粉体のマグネシウムは燃えやすく温度管理が難しい。粉体フェライトを磁 性を損なわず粉体マグネシウムと混ぜるのは、温度や圧力管理の面から実現していなかった。医療で人体に埋め込む材料や電磁スイッチ、磁気シールドなどへの 利用が期待できる。
 磁石に付くアルミニウム合金の技術を応用した。今後は用途を開拓する応用研究と並行して、より強い磁性を持たせる技術の確立を目指す。
 マグネシウムはアルミニウムより軽く、人体内に留めておくと吸収されるといった特性がある。
日刊工業新聞 掲載日 2010年05月24日
【ビジネスワイヤ】レアアース生産の米モリコープ・ミネラルズとレアアース材料製造の加ネオ・マテリアル・テクノロジーズ(TSX:NEM)は、レアアー ス製品の製造・供給・販売に関する同意書を取り交わしたと発表した。ネオがモリコープに対し、レアアースの金属・合金・磁石を生産するための技術指導・ノ ウハウを提供する一方、ネオはレアアースの炭酸塩混合物、ネオジウムやプラセオジムの酸化物または金属をモリコープから購入する。ネオはモリコープの製品 を販売するマーケティング・販売契約を検討する。<BIZW>
【編注】この記事はビジネスワイヤ提供。英語原文はwww.businesswire.comへ。 

 レアメタル(希少資源)は、携帯電話機やデジタルカメラ、パソコンなど、主要な電子機器では必ずといっていいほど使われている重要な資源です。例 えば、自動車の排気ガスを浄化する触媒に使われるPt(白金)、ハイブリッド車の高性能モーターに欠かせないNd(ネオジム)やDy(ジスプロシウム)、 液晶パネルの透明電極に使われるIn(インジウム)、ハードディスクの材料になるRu(ルテニウム)、2次電池に使われるLiやNi(ニッケル)、 Co(コバルト)など、エレクトロニクスや自動車産業の根幹に関わる材料は全てレアメタルです。日本では、実に世界全体の1/4のレアメタルを消費してい ます。

 レアメタルは入手しにくい物質です。単に絶対量が少ないものだけではなく、放射能の問題などで生産が困難であったり、超高所など採掘しにくい場所 に存在していたりするなど、様々なタイプのものがあります。コスト無視ですべて掘り出したとしても、20〜30年のスパンで枯渇する可能性があるレアメタ ルも少なくありません。

 レアメタルの特徴は、一部の国に極端に偏在しているケースが多いことです。例えば、Ptは全体の埋蔵量のうち9割以上を南アフリカ共和国が、 W(タングステン)は7割近くを中国がそれぞれ保有しています。Liは、チリ、ボリビア、アルゼンチンの南米3カ国で8割を占めています。生産量が限られ るうえに、このように上位数カ国が世界全体の埋蔵量の大半を握っているのです。

 希土類は「レアアース」とも呼ばれるレアメタルの一種で、Ndなど17種類の元素の総称です。現在実用化されている最も高性能な磁石は「Nd磁石」ですが、これを生産するにはレアアースの調達が必要です。しかしレアアースの産出は、全世界の90%以上を中国が占めています。もし中国がレアアース の出荷を拒むような事態に陥れば、入手が極めて困難になるでしょう。最悪の場合、必要な材料が調達できずに、自動車や電子機器の生産がストップしてしまう 可能性も否定できません。

 レアアースは鉱石中にごく少量しか含まれないばかりか、製錬には大量の土砂と強烈な薬品を必要とします。また、生産の過程ではおびただしい量の残 渣(ごみ)が生じます。環境に深刻な影響をもたらすレアアースの生産は、世界のなかでも中国くらいでしかできないというのが実情なのです。

 浦添市立神森中学校で2日、総合的な学習の時間を活用した「科学力養成プログラム」が始まった。15日までの3回計画。1年生326人が3グループに分 かれ、外部講師が実験を中心に授業を行った。生徒たちは液体窒素や磁石、海水を使った実験などを通して、科学の不思議や面白さを体感していた。
  1組から3組の生徒は琉球大学理学部物質地球科学科の教員や学生ら8人による授業「低温の世界を体験してみよう」を受けた。前野昌弘同大准教授らは、冷却 剤にも使われる液体窒素や強力な磁力を持つネオジウム磁石を使った実験を生徒たちに紹介した。
 実験で生徒たちは、液体窒素の中に膨らませた風船を入れ、中の空気が液体に変化する様子を確認。また、木の葉や消しゴム、ネクタイなど身近にあるものを 液体窒素で凍らせ、その感触を楽しんでいた。
 同授業では、セラミックを液体窒素で超低温に冷却することで、セラミックが磁石の性質を持つ実験なども紹介され、生徒たちは不思議な現象に瞳を輝かせて いた。木の葉を凍らせたという小田里子さん(1年)は「ぱりぱりに凍って面白かった。理科は好き」とうれしそうに話した。
 前野准教授は「いろいろな現象を体験することで、理科や物理のファンになってほしい」と願いを込めた。4組から6組の生徒は那覇市立大名小学校若夏分教 室の高松隆二教諭の授業「科学の面白さを体験してみよう」、7組から9組の生徒は沖縄県環境科学センターの玉城重則副参事の授業「水と生物について学ぼ う」を受けた。
 電気自動車(EV)などに欠かせない永久磁石の研究推進に向け、東北大などが産学官組織「東北モータ磁石イノベーション戦略会議」を設立した。磁石に必要な希少金属の使用量低減などで連携を図り、東北を磁石研究の拠点に育てていく。
 戦略会議は東北大のほか、東北経済産業局、宮城県、仙台市、東 経連などで構成。自動車や家電の大手メーカー、東北6県の自治体、経済団体などにも参加を呼び掛けている。事務局は東北大未来科学技術共同研究セン ター(NICHe)。17日には仙台市内で初の会議を開く。
 当面は年1回の会議で、情報交換を行い、研究動向を共有し、連携の促進につなげる。
  永久磁石は「ネオジム磁石」が最も強力で、EVやハイブリッド車、省エネ家電などに利用されている。だが、耐久性向上のために添加される希少金属のレア アース(希土類)は、主産地・中国による輸出規制などで調達が難しくなっている。
 このため東北大では、杉本諭教授が希土類の使用量を減らす研究 を進め、高橋研教授もトヨタ自動車や帝人などと、希土類を使わず、鉄や窒素を活用する新型磁石研究に着手した。
 戦略会議はこうした取り組みの支 援、拡大も視野に入れており、NICHeは「磁石は研究者不足の分野。戦略会議設立を人材育成や新産業創出につなげたい」と話す。
 初会議は17 日午後1時から、東北大青葉記念会館で。杉本、高橋両教授による研究紹介、トヨタや日立金属の関係者らの講演を行う。定員100人、参加無料。連絡先は戦 略会議事務局022(795)4004。

モータの構造を抜本的に変える競争が始まっている。震源地は洗濯乾燥機だ。「磁石の磁力を変えられる」「巻き線の回 路を切り替えられる」「二つのロータを備える」など,これまでにないモータが登場している。洗浄や脱水の能力をはじめ,省エネルギー性や静音性を競い合う 中で生まれた。こうした新型モータは今後,電気自動車など他分野のモータ開発を牽引しそうだ。

進化する洗濯機用のモータ

 「モータのタブーに挑戦した」(東芝ホームアプライアンス)──。

 家電用モータの世界で今,革新が起こっている。特に,洗濯乾燥機用のモータの進化が顕著だ。東芝ホームアプライアンスは,2009年秋に発売した 2010年モデルにおいて,磁石の磁力を変化させる「可変磁力」方式のモータを実用化した。永久磁石の磁力を変化させて,低回転時と高回転時のモータの特 性を切り替える"離れ業"を実現している。あるモータ機器の開発者は,「これまでにない幅広い回転領域でモータの特性を向上できる興味深い取り組みだ」と する。

 モータ技術の革新に注力しているのは,東芝ホームアプライアンスだけではない。日立アプライアンスも,低回転時と高回転時での特性を変えるべく, 巻き線を直列および並列に切り替える「巻き線切り替え」方式のモータを2010年モデルの洗濯乾燥機に搭載した。パナソニックは,出力の向上を図るため, 二つのロータを備える「デュアル・ロータ」方式と呼ぶモータを2008年モデルから洗濯乾燥機に搭載している。

 家電メーカーは,1年ごとに洗濯乾燥機の新製品を投入しなければならない激しい競争にさらされている。こうした中,洗浄や脱水の能力,省エネル ギー性,静音性などで他社をリードするために,新たな構造を備えるモータを各社が競って投入しているのだ。

 これらの新型モータは,他の家電をはじめ,電気自動車や電動バイクといった電動車両のモータ開発にも大きな影響を与えそうだ。特に,市場の急拡大 が期待されている電動車両のモータでは,洗濯乾燥機と同じく,低回転から高回転まで効率良く駆動するモータが求められている。

『日経エレクトロニクス』2010年3月8日号より一部掲載

トヨタ系特殊鋼メーカーの愛知製鋼は27日、岐阜県関市に新工場「関工場」を完成させ、主に自動車の 内装用モーター向けの磁石原料の量産を始めた。

 通常の磁石原料より軽量で、自動車の燃費向上に役立つとみて製鉄に次ぐ主力事業に育てる方針。

 同社の磁石原料は粉末状の磁石を樹脂で覆った特殊なもので、加工しやすいうえ一般的な磁石の6分の1の量で同じモーター出力が得られるという。ま ず月25トン(モーター200万個分に相当)の生産から始め、12年度末には同100トンに増産する。【宮島寛】

毎日新聞 2010年5月28日 中部朝刊

 2010年3月2〜14日までスイスのジュネーブで開催されている「80th Geneva International Motor Show(ジュネーブ・モーターショー2010)」では,欧州の自動車メーカーがハイブリッド車や電気自動車といった電動車両の今後の投入計画を明らかに しました。例えば,ドイツVolkswagen社は2013年までにハイブリッド車(HEV)を4車種,電気自動車(EV)を3車種投入するとのこと(関連記事)。 そして「2018年までに自社の販売台数の3%をEVにする」ことを目指します。
 一方,ドイツDaimler社は,中国BYD社と技術提携したことを発表しました。BYD社のLiイオン2次電池の技術とDaimler社の電動車両の 技術を組み合わせ,中国市場向けのEVを早期に開発するとのことです(関連記事)。 Daimler社は,小型車「A」クラスのプラットフォームを流用して中国へのEV投入を本格化させるようです。「中国は排出ガスを出さない車両 (ZEV)で世界最大の市場となる可能性がある。BYD社と協力して中国での車両の電動化を加速させる」としています。
 このように世界中で電動車両の投入計画が明らかとなり,車両に搭載されるLiイオン2次電池に大きな注目が集まっていますが,今後はぜひモータの技術の 革新にも目を向けたいところです。2010年1月に開催された,「第1回EV・HEV駆動システム技術展」では,安川電機がモータの巻き線を切り替えて低 回転から高回転まで効率の高いモータを披露し,多くの来場者を集めていました(関連記事)。 同社は「2013年には事業化したい」と意気込んでいます。
 実はモータの技術革新は今,自動車分野だけでなく,家電の世界でも起こっています。2010年3月8日号の日経エレクトロニクスで解説「家電から 始まるモータ革命」を掲載しましたが,洗濯乾燥機用モータの進化がすごいのです。例えば,東芝ホームアプライアンスは,2009年秋に発売した 2010年モデルにおいて,磁石の磁力を変化させる「可変磁力」方式のモータを実用化しました。永久磁石の磁力を変化させて,低回転時と高回転時のモータ の特性を切り替える"離れ業"を実現しています。
 日立アプライアンスも,低回転時と高回転時での特性を変えるべく,巻き線を直列および並列に切り替える「巻き線切り替え」方式のモータを2010年モデ ルの洗濯乾燥機に搭載しました。このほか,パナソニックは二つのロータを備える「デュアル・ロータ」方式と呼ぶモータを2008年モデルから洗濯乾燥機に 搭載するなど,洗濯乾燥機の分野では新しい構造を備えるモータが続々と登場しています。こうした新型モータは,他の家電だけではなく,電気自動車や電動バ イクといった電動車両のモータ開発にも大きな影響を与えるはずだと考えています。

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